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セメント規格

日本産業規格

  セメントに関する日本産業規格(JIS:Japan Industrial Standard)は現在(2021年1月1日時点)、品質に関する規格が5規格、試験方法に関する規格が4規格、制定されています。
  セメント協会はこれらの規格の「原案作成団体(者)」として、改正の申し出、原案作成委員会の運営、規格票原案の提出などの事務的な作業を行う一方、JISの改正・制定の内容に対する技術的な調査・検討・試験等を行っています。
  また、セメント分野の国際規格に関しても、ISO/TC74国内審議委員会の事務局として国際規格とJISとの整合化に係る調査・検討を実施しています。

1.  品質に関する規格

  JISで規定されているセメントは、ポルトランドセメント、混合セメント、エコセメントの3種類に分類されます。
  現在までに大型構造物の建造や早期竣工を目的としたセメント、循環型社会に配慮したセメントなど、社会的なニーズや環境問題に対応して改正が行われています。

品質に関する規格

■  規格番号と規格の名称

  • JIS R 5210「ポルトランドセメント」
  • JIS R 5211「高炉セメント」
  • JIS R 5212「シリカセメント」
  • JIS R 5213「フライアッシュセメント」
  • JIS R 5214「エコセメント」

■  規格の変遷

PDF  セメントの品質規格の変遷 PDF

2.  試験方法に関する規格

  セメントの特性を評価するために規定された試験方法で、強度や粉末度などを求める物理試験、化学組成を求める化学・蛍光X線分析、水和熱を求める水和熱試験が規格化されています。
  これらの試験方法によって求めた結果をセメントの試験成績表に記載することになっています。
  これらの規格は、セメントの品質規格(JIS R 5210、JIS R 5211、JIS R 5212、JIS R 5213およびJIS R 5214)で規定される品質を確認するために用います。

■  規格番号と規格の名称

  • JIS R 5201「セメントの物理試験方法」
  • JIS R 5202「セメントの化学分析方法」
  • JIS R 5203「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」
  • JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」

■  規格の概要

・JIS R 5201「セメントの物理試験方法」
この規格は、試験項目として、密度、粉末度(比表面積および網ふるい)、凝結、安定性、強さ(圧縮強さおよび曲げ強さ)、フローを規定しています。
・JIS R 5202「セメントの化学分析方法」
この規格は、セメントを酸で溶解し、溶解した試料溶液中の目的の化学成分量を湿式分析により測定し、セメント中の目的の化学成分の含有率を求める方法を規定しています。
・JIS R 5203「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」
この規格は、所定の材齢まで養生した水和セメントと未水和セメントを酸液に溶解し、その溶解熱から間接的に水和熱を求める方法です。
・JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」
この規格は、ガラスビードを用いた蛍光]線分析によりセメント中の目的の化学成分の含有率を求める方法を規定しています。高炉セメントの三酸化硫黄についてはJIS R 5202が公定法です。JIS R 5212およびJIS R 5213については適用できません。

■  規格の変遷

PDF  セメントの試験方法の変遷 PDF

国際規格と日本産業規格

  セメントの国際規格に関しては、ISO/TC74国内審議委員会の事務局として、JISと同様な業務を行っています。セメントに関する国際規格は、現時点では試験方法規格のみが制定されており、ウィーン協定に基づき欧州標準化委員会の専門委員会(CEN/TC51)で原案が検討されています。日本も審議に積極的に関わっており、その成果として、蛍光X線分析方法の国際規格(ISO 29581-2:2010)にはJIS R 5204の内容が多く反映されたものとなっています。

国際規格と日本産業規格の対比表(2021年1月1日現在)

  項目 国際規格 JIS番号
品質 ポルトランドセメント 該当規格なし JIS R 5210
高炉セメント 該当規格なし JIS R 5211
シリカセメント 該当規格なし JIS R 5212
フライアッシュセメント 該当規格なし JIS R 5213
エコセメント 該当規格なし JIS R 5214
試験 物理試験 ISO 679(強さ試験)、ISO 9597(凝結・安定性試験) JIS R 5201
化学分析 ISO 29581-1 JIS R 5202
水和熱試験(溶解熱法) ISO 29582-1 JIS R 5203
蛍光X線分析 ISO 29581-2 JIS R 5204
ポゾラン活性試験 ISO 863 該当規格なし

国際規格とそれに対応する日本産業規格およびその整合化状況(2021年1月1日現在)

国際規格の番号と名称 対応する日本産業規格と整合化状況
(1) ISO 679 (強さ試験)
最終改正:2009年4月
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の11. 強さ試験および付属書C
・2015年の改正において、整合化作業を行った(対応の程度はMOD)。
(2) ISO 29581-1 (化学分析)
最終改正:2009年3月
JIS R 5202「セメントの化学分析方法」
・2010年の改正において、整合化作業を行った(対応の程度はMOD)。国際規格に規定されている完全分析方法は附属書(参考)に規定した。
(3) ISO 29581-2 (蛍光X線分析方法)
制定:2010年3月
JIS R 5204「セメントの蛍光X線分析方法」
・2019年の改正において、整合化作業を行った(対応の程度はMOD)。
(4) ISO 9597 (凝結および安定性試験)
最終改正:2008年11月
JIS R 5201「セメントの物理試験方法」の9.凝結試験、10.安定性試験および附属書A、附属書B
・2015年の改正において、整合化作業を行った(対応の程度はMOD)。
(5) ISO 863 (ポゾランセメントのポゾラン性試験)
最終改正:2008年12月
対応するJISを制定する予定はない。
(6) ISO 29582-1 (水和熱試験方法(溶解熱法))
制定:2009年7月
JIS R 5203「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」
・2015年の改正において、整合化作業を行った(対応の程度はMOD)。