水を治める、エネルギーに変える

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五本松ダム(兵庫県)

我が国最古の重力式コンクリートダム・五本松ダム(通称:布引ダム)は1900(明治33)年の竣工で110年以上の歴史を積み重ねている。兵庫県神戸市に全国で6番目の近代水道をもたらしたこのダムの規模は、堤高33.3m、堤頂長110.3m、総貯水量41万m3で、英国人技師のウイリアム・K・バルトンが設計を手がけた。戦後造られたダムと比較するとこじんまりしたものだが、人力を中心とした建設技術を考えると我が国コンクリートダムの原点としていぶし銀の輝きを粗石積みの外観のなかから放っている。ダムは、その歴史のなかで幾度かの補修や阪神・淡路大震災での被害復旧のための大規模堤体補強を経て、現在も市民の貴重な水源と野鳥が飛び交う豊かな水辺環境から人々の憩いの場として愛され続けている。

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