景観設計・シビックデザインの機運が高まりを見せた1980〜90年代。愛知県名古屋市と三重県亀山市を結ぶ東名阪自動車道のうち、清洲ICから名古屋西JCT間の中間部約6.6kmに建設されたこの連続PC橋区間は、地域景観を配慮したデザインとして大きく評価されて、土木学会田中賞作品部門、プレストレストコンクリート技術協会作品賞ほかを受賞した。
高架橋の外観は、かどを排除し上部工と下部工とは曲線美でコーディネートしたほか、遮音板には明るい配色のアクセントや日照阻害対策として透光レンズ版を採用するなど、周辺住民と利用者の利便性に配慮したさまざまな工夫が凝らされた。
竣工から20年以上を経た今、道路を取り巻く社会情勢は大きく変わったが、戦国時代の名将が勇躍したこの地で、人と周辺環境に優しい道づくりを熟考したひとつの証として、なだらかな稜線を景観に溶け込ませたこの高架橋区間が持つ意味は深い。