正確に言うとこの防波堤ドームは2代目である。初代は1920(大正9)年に樺太航路の開設を目的に工事に着手したが、高さ5.5mの直壁ではオホーツクの荒波を防ぎきることはできなかった。その後1931(昭和6)年から5年の歳月をかけて建設されたのが現在の「屋蓋式」と呼ばれる北防波堤ドーム。
設計に当たったのは当時26歳の北海道庁の土谷実技師。梁と柱を防波堤胸壁と地中杭で支持する固定ラーメン形式で、柱間隔6.1m、梁は床版で連続させて24mごとに伸縮継手を設ける構造。延長424mに最大直径1.34m、高さ5.5mの円柱70本が並ぶ姿は古代ローマ風の回廊を思わせる。1980年代に入り原型を活かした全面改修が施され、2000年には補強工事も行われた。現在では北海道遺産として登録され、最北の地にそびえるドームが醸し出す空気は70年以上経った今でも変わることはない。