自然と共存し、生活を守る

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雲仙・水無川1号砂防ダム(長崎県・島原市)

日本は国内に100以上の火山を抱える火山大国であり、最近では霧島山・新燃岳での噴火がその事実を改めて実感させる。雲仙普賢岳は1990年11月17日、198年ぶりに噴火活動を再開、周辺地域の人々を不安の中に陥れた。翌91年には火山から噴出した火砕流・土石流が水無川流域で暮らす住民と家屋に甚大な被害を与え交通網が寸断される大惨事となった。
 この苦い教訓を活かし地域住民の命・財産を守る本格的防災対策の一環で建設された水無川1号砂防ダムは堤長870m、貯砂容量は100万m3にもおよぶ。1995年に着工した建設現場は施工中、もし火砕流が発生するとわずか4分でその直撃を受ける超危険地帯。このため日本初となるブルトーザ、トラック等多くの機材を遠隔コントロールする無人化施工が採用された。またダム本体部はRCC工法、両岸袖部での現地発生材(火砕流堆積物)を活用したCSG工法による重力式コンクリート構造で施工された。現在、火山の噴火活動は終息状態にあるというが有事に備え地域住民の安全と財産を守るための防災力強化事業が地道に進められている。

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