優れた街並みや生活を支える

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神戸市立御影公会堂(兵庫県・神戸市)

 アニメ映画「火垂るの墓」の冒頭でも登場したこの建物は、地上3階、地下1階、延べ面積3234m2の規模で1933(昭和8)年に竣工。建設資金の大半を地元、灘の酒蔵・白鶴酒造の7代目当主嘉納治兵衛が拠出、設計は阪神圏でRC建築を多数手がけた清水英二が担当した。長年、地域住民の文化交流の場になるとともに戦災や地震被害を乗り越えて頑丈な基礎と躯体を証明、特に阪神・淡路大震災(1995年)の際は約1年の間、350名もの被災者の生活の場としての役割も果たした。
 スクラッチタイルを配した褐色の外壁、南側の玄関から望む屋上まで延びた柱と深い庇、印象的な曲線の窓と柱の曲線の調和が織り成す外観が特に印象的だ。館内に足を踏み入れると天窓から差し込む光が照らす内部のアールデコを基調とした柱、梁、階段やランプやドアノブの装飾が演出する昭和レトロの風合いが優しく、訪れる人の気持ちを和ませる。

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