学生の街、東京・御茶ノ水で神田川をまたぐ橋長92m、幅員22mのRCアーチ橋。関東大震災復興事業の一環として建設され1年8ヶ月の工期を要して1927(昭和2)年に竣工した。設計は、建築家として大正末期から昭和30年代にかけて活躍した山田守氏でダイナミックな放物線を取り込んだ作風は、この橋のデザインにも見事に反映されている。橋の一帯は本郷台地南端部に当り、もともと地続きの台地であったが、江戸城の北方防御のための開削で神田川をはさんで二分された場所にある。橋を望む眺めはあたかも郊外の渓谷美とビル群や交差する電車の流れといった典型的な市街風景が橋のフォルムを仲立ちに穏やかにバランスする。
橋はその美観を保つため幾たびか補修の手が入っており、1990年代初頭には周囲の環境に調和させるため橋壁面に御影石肌風の吹き付けを主体とした補修が行われた。今後も適切なメンテナンスを受けながら末永く地元のシンボルとして愛され続けて行くだろう。