1998年に開通した全長3911m、中央スパン世界最長1990mを誇る明石海峡大橋。アンカレイジ(1A)は本州側海岸で、この吊橋の補剛桁を支える2本のメインケーブルを固定するため大地に打ち込む巨大な錘としての役割を持つ。ケーブル1本あたり6万tの張力を受け止めるコンクリートの躯体は長さ84.5m、幅63m、高さ48mで、地下連続壁として64mまで掘り下げられ、その総重量は約35万t。コンクリートの打設量は基礎部23万m3、躯体部14万m3におよぶが、その打設に際しては過密配筋下での大量・急速打設を可能とする低発熱セメントを使用した高流動コンクリートが開発、採用された。このほか、橋の主塔部の海中基礎に用いられた水中不分離性コンクリートの大規模施工が展開、国力を結集したこの巨大プロジェクトの完遂に向けた関係者の奮闘を支えた。