世紀の大事業として語り継がれている黒部ダムは、2013年6月、誕生から50周年を迎えたが、高さ186mという壮大なスケールでそびえる威容は、今でも日本一の座を譲らない。
戦後、高度経済成長期を迎え、電力不足が深刻な社会問題となっていた日本では、かねてより水力発電の適地とされながら、厳しい自然条件によりダム建設を阻んできた黒部川でダム建設に挑むこととなった。
苦難を極めた建設工事は関西電力と各工区を担当した建設会社が当時の持てる技術を結集し、7年の歳月、延べ1千万人もの作業員と、171名の尊い犠牲を払いながらも、総工費513億円(当時)をかけて完成した。そして黒部は豊かな電力の源となり、半世紀を経た現在でも、純国産の再生可能エネルギーをつくり続けている。
年間100万人ともいわれる観光客が、なだらかな美しいカーブを描く黒部ダムの雄姿を目にするとき、立山連邦の絶景とも相まって、先人の果たした偉業に思わず歓声をあげることだろう。
1963(昭和38)年竣工/アーチ式コンクリートダム/総貯水量約2億m3/最大出力33万5千kW・年間発電量約10億kWh(黒部川第四発電所)