コンクリートとは


  コンクリートは主にセメント、水、細骨材、粗骨材で構成されます。コンクリートを構造物に使用する際は、使用材料の選定、材料の使用割合(「配合」あるいは「調合」という)の決定、コンクリートの練混ぜ、運搬、打込み(「打設」ともいう)、養生などの各工程に配慮が必要です。また、コンクリートは所要の形状に正確に、かつ均一に使用する必要があります。そのためには、打ち込もうとするコンクリートが、その方法に適した「作業性をもった軟らかさ」である必要があります。コンクリートが硬過ぎれば隅々まで行き渡らせるのに手間がかかったり、型枠面や鉄筋が過密な部分に空洞が残って(これを「豆板」あるいは「ジャンカ」と呼んでいる)しまい弱点をつくってしまいます。反面、軟らか過ぎれば粗骨材が沈んでしまったり、余った水が表面にたくさん浮いてきたりして、不均一なものとなります。したがって、使用する条件に応じた適度な軟らかさのものをつくることが重要です。コンクリートは、①まだ固まらない状態のものを「フレッシュコンクリート」、②固まった状態のものを「硬化コンクリート」と呼んでいます。

コンクリートの構成

生コンクリートの製造

  コンクリートの製造は、一般の工事ではコンクリートの製造設備をもつ生コン工場(レディーミクストコンクリート工場)で行われます。コンクリートの製造設備は、各材料の貯蔵設備、計量機、ミキサおよびこれらの制御装置で構成され、生コンクリート(通称=生コン)の場合は、運搬車『アジテータ車(通称:生コン車)』で工事現場へ運搬されます。「生コン」とは、フレッシュコンクリートのことを指す場合もありますが、通常の工事では、固定されたプラントで製造したコンクリートを指すことが多いです。

生コン工場(レディーミクストコンクリート工場)

アジテータ車(通称:生コン車)

いろいろなコンクリート

高強度コンクリート

  通常のコンクリートの圧縮強度は、例えば、生コンのJISでみると、「呼び強度45」すなわち45N/mm2が最大値です。これに比較して強度が高いものを高強度コンクリートと称しています。高強度コンクリートをつくるには、水セメント比を小さくする必要があります。高強度コンクリートを使用すると、鉄筋コンクリートなどの部材断面を小さくすることができ、自重を軽減できることから橋梁、タンク、高層ピル、プレキャスト工場製品などに多く用いられています。

高強度コンクリートで施工された超高層RC集合住宅

高流動コンクリ-ト

  施工性の改善等を目的にコンクリートの流動性を高めたコンクリートです。流動性ばかりではなく、材料分離抵抗性にも優れ、型枠の隅々まで充填でき、硬化後の強度や耐久性にも優れるなどの特徴をもっています。高流動コンクリートは、コンクリート品質の信頼性向上、現場の省力化、打込み・締固め作業にともなう騒音の低減による労働環境の改善、ひいては施工システムの合理化などへ効果があります。

高流動コンクリート

流動化コンクリート

  あらかじめ練り混ぜられたコンクリートに流動化剤を添加し、これを撹拝して流動性を増大させたコンクリートです。コンクリートの品質を保持したまま流動性に優れたコンクリートにすることができるので、ポンプ圧送性等の施工性を改善できる特徴があります。

マスコンクリート

  大型コンクリート構造物や断面寸法の大きなコンクリ-ト構造物に使用するコンクリートです。大きな体積のフレッシュコンクリートを大規模な形で施工するため、セメントの水和熱によってコンクリートの温度が上昇します。この温度上昇によって膨張したまま硬化したコンクリートが、徐々に放熱して収縮していくときに自由に変形ができないと、コンクリートに引張応力が発生して、ひび割れが生じやすくなり特別な配慮が必要となります。マスコンクリートとして対象となる構造物の部材寸法は、スラブでは厚さが80~100cm以上、下端が拘束された壁では50cm以上とされています。

マスコンクリートの代表格・ダム(温井ダム)

軽量コンクリート

  軽量骨材などを用いて、質量または密度を通常のコンクリートより小さくしたコンクリートです。上部構造物の軽量化が可能となり、基礎工荷重も小さくなり経済的になります。軽量コンクリートに使用する軽量骨材には、天然骨材や人工骨材があり、これらを用いたコンクリートを軽量骨材コンクリート(乾燥した状態の密度で約2.0g/cm3以下)と呼ばれ、橋梁の床版や建築物の床スラブなどに使用されています。最近では建築物の高層化に伴うコンクリートの軽量化への要望が高まっており、床スラブに使われることが多くなっています。

軽量骨材を使用したコンクリートカーテンウォールで施工された高層建築

ポーラスコンクリート

  ポーラスコンクリート(多孔質なコンクリート)には、緑化コンクリート、排水性・透水性コンクリートなどがあります。
(1)緑化ンクリート
コンクリート構造物と自然との調和や大都市部の気温が著しく上昇するヒートアイランド現象の緩和など環境保全を目的にコンクリートに緑を取り入れる技術のひとつとして開発されました。近年では河川護岸や道路法面(のりめん)などに積極的に導入されつつあります。
(2)排水性・透水性コンクリート
道路舗装の分野で特に注目されており、研究開発の結果、最近では実車道への利用が開始されつつあります。路面に溜まった雨水などをポーラスコンクリート構造を通じて、配水管に導いたり、直接、路盤に浸透させることで走行車両の安全性確保や道路周辺の環境保全、メンテナンス軽減が可能となります。

排水性コンクリート舗装の表面

水中コンクリート

  水中でコンクリートを施工する場合には、コンクリートが水に撹乱されて品質が低下しないように、トレミーと呼ばれる管やコンクリートポンプ圧送管、底開き箱等を用いて、これらを通して打ち込まれます。このような場合に使うコンクリートを「水中コンクリート」と呼んでいます。海中の橋脚基礎、護岸、防波堤工事等に使用されています。

海中での水中不分離性コンクリートの打設

プレパックドコンクリート

  型枠にあらかじめ40mm程度以上の粗い粗骨材を詰めておき、その隙間に特殊なモルタルを注入してつくるコンクリートです。注入するモルタルは、粗骨材を強固に結合し適度に膨張するものが良く、混和材料には、フライアッシュ、高炉スラグ微粉末と減水剤、アルミ粉末などの発泡剤等が用いられます。この方法は、水中の基礎構造物や護岸、構造物の補修などに利用されています。

プレパックドコンクリートの原理

吹付けコンクリート

  圧縮した空気によって吹き付けるコンクリートで、施工方法には乾式と湿式の2種類があります。吹付けコンクリートは、比較的小規模な機械で施工できる、型枠を必要としない、急速施工が可能である、などの特徴があります。トンネルの1次覆工、ライニング、ダムや橋梁の補修・補強工事などに使用されています。

法面吹付け工事

繊維補強コンクリート

  コンクリートの中に鋼繊維やガラス繊維などの繊維を補強のために混入し、引張強度、曲げ強度、ひび割れ抵抗性や靭性(じんせい:ねばり)などを改善したコンクリートです。

膨張コンクリート

  コンクリートに膨張材を混入し、その膨張力を利用して収縮量を低減したり、引張強度を改善したりするコンクリートです。膨張コンクリートは、その膨張効果によって、乾燥収縮によるひび割れを減少させることができます。また、ひび割れに対する抵抗力が大きくなることから、建築物の床や壁、コンクリート製品、水槽、橋梁の床版、舗装版などに使用されています。

低収縮コンクリート

  コンクリートの収縮は、内部の微細な空隙中に存在する水の表面張力(毛細管張力)によって生じるといわれ、水自体の表面張力を低下させることによって収縮を小さくすることができます。「収縮低減剤」は、この原理を利用して開発されたもので、この収縮低減剤を用いたコンクリートです。①鉄筋との付着強度が改善できる、②既設コンクリートの上にコンクリートを打設する場合に一体性が確保しやすい、などの特徴から、厚さが薄い部材、壁、スラブや舗装版等の用途があります。

遮へいコンクリート

  磁鉄鉱のような密度が極めて大きい骨材を用いて、原子炉等の放射線を遮へいするコンクリートを「遮へいコンクリート」といいます。単位容積質量が3.5~3.8t/m3程度と大きいことから「重量コンクリート」とも呼ばれています。遮へいコンクリート工事で対象となる建築物は原子炉建屋、ウラン再処理施設、アイソトープ貯蔵施設、医療用照射室等があります。

原子力発電所には遮へいコンクリートが使われる

再生骨材のコンクリートへの利用

  再生骨材は、コンクリート構造物を解体する際に発生するコンクリート塊をインペラブレーカやジョークラッシャなどで破砕した後、ふるい分けて骨材を再利用するものです。再生骨材は、処分場の枯渇、骨材資源の減少と資源循環型社会への対応のため、JIS化され、一部は生コンのJIS規格(JISA 5308)でも使用が可能となりました。今後は、コンクリート構造物への積極的な活用が期待されています。

再生骨材

再生骨材製造設備

コンクリート製品

  コンクリート製品は、工場もしくは現場の製造設備により、あらかじめ製造された部材・製品を指します。コンクリート製品には、無筋のもの、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリートのものもあります。製造方法はさまざまなものがあり、代表的な例では、硬練りのコンクリートを振動、加圧振動や遠心力などで締め固め、成形し、蒸気養生や高温高圧養生(オートクレーブ養生)を行うものが多いです。コンクリート製品は、工場で規格品を大量に生産するので、品質管理に優れ、寸法精度の高いものを経済的につくることができます。また、工事現場での鉄筋工、型枠工などの熟練工の不足をおぎなうことができ、施工の合理化や急速化を可能にします。用途として、土木・建築の構造部材(構造的に力を負担する部材)、非構造部材(力を負担しない部材)だけでなく、電気、通信、鉄道、公園、上下水道、農業などの関連施設などがあり、広い分野に使用されています。施工の省人化、工期の短縮、工費の低減のため、コンクリート製品の大型化、高強度化が進み、さらに部材としての強度、機能のほかに、自然環境や周辺の景観、都市景観に調和した製品が登場しています。

工場で生産された建築用部材