配合編


Q.8 「養生終了強度」について設計基準強度や割増係数から算出
する方法を教えて下さい。

  日本道路協会の「舗装設計施工指針」では、養生期間を試験によって定める場合は、「現場養生を行った供試体の曲げ強度が配合強度の70%以上となるまでとする」とされています1)。また、配合強度は設計基準強度に割り増し係数を乗じた値となります。

そのため,例として設計基準曲げ強度4.50N/mm2、割り増し係数1.09の場合は下記のようになります。

配合強度:4.50 N/mm2×1.09=4.905 N/mm2 ≒ 4.91 N/mm2

養生終了強度:4.91 N/mm2×0.7=3.44 N/mm2 ≒ 3.50 N/mm2以上

※設計基準強度や割り増し係数は施工および製造条件によって異なります。


【参考文献】

1) 日本道路協会:舗装設計施工指針(平成18年版)、p.122、2006年



Q.9 急勾配箇所での施工において、仕上げ面のダレを抑制するに
は、コンクリートの配合条件をどのように定めたらよいでし
ょうか?

  1DAY PAVEは水セメント比(以下、W/C)を35%程度と比較的低く設定しているため、施工性を考慮してスランプフローを40cmとすることが多くあります。このようなコンクリートを急勾配の箇所で施工した場合、コンクリートの打込み後の仕上げ面が変形(いわゆるダレ)し、平たん性の低下や段差が生じる可能性があります。

  仕上げ面のダレを抑制するには、スランプを小さくすること、単位粗骨材かさ容積(以下、かさ容積)を大きくすることが有効です。図9-1および図9-2は、コンクリートの打込み後に鋼製型枠(15×15×53cm)を傾ける(5%、15%)ことで、コンクリートの配合条件がコンクリートの仕上げ面のダレにどのような影響があるか実験的に検討した結果です。図中の変形角度が大きいということは、仕上げ面の変形が大きい(ダレが大きい)ということを表しています。図9-1より、スランプ(図中、SL)が小さいほど、変形角度も小さくなり、ダレが抑制されることが分かります(図中、シリーズ1)。一方で、スランプまたはスランプフローが同一であっても、図9-2に示すようにかさ容積を大きくすることで、変形角度を小さくすることができます。例えばスランプフロー40cmの場合に、かさ容積を0.02m3/m3大きくすることで、スランプを約2.5cm小さくすること同等の効果が得られています。

  ただし、かさ容積を過大に設定するとコンクリートの打込み、締固めが困難となるため、かさ容積は十分なワーカビリティーが得られる範囲で設定する必要があります。また、実際の舗装工事では、さらにコンクリートの敷きならしや振動締固め、平たん仕上げの方法の影響も大きいと考えられるため、施工面からも十分な配慮が求められます。


  
図9-1 変形角度とスランプの関係1) 図9-2 変形角度と単位粗骨材かさ容積の関係1)

【参考文献】

1) 立岩華英、小島克仁、岸良竜、河野克哉:1DAY PAVEの配合条件が傾斜部における仕上げ面
の変形に及ぼす影響、第75回セメント技術大会、pp.62-63、2021年



Q.10 コンクリートの強度発現は養生温度の影響を受けますが、
1DAY PAVEの強度発現の例を教えてください。

  1DAY PAVEでは養生期間1日での交通開放を目指し、その強度管理は現場養生供試体で行います。特に若材齢時のコンクリートの強度発現性は環境温度の影響を強く受けますので、施工時の温度条件における強度発現性を事前に把握しておく必要があります。

  図10-1に、養生温度ごとのセメント水比と材齢1日強度の関係の例を示します。同一のセメント水比(以下、C/W)でも、養生温度により曲げ強度が大きく異なることが分かります。試し練りの際の強度確認は、供試体の養生を、施工時の現場養生供試体と同じ温度条件と推定される条件で行う必要があります。図10-2に、各C/Wにおける積算温度と曲げ強度の関係の例を示します。積算温度は、コンクリートの強度発現性をコンクリート温度と時間の関係で整理しようとするもので、一般に以下の式(1)、式(2)で表されます。


   (1)
   (2)

  ここに、 fb:曲げ強度(N/mm2)、a,b :実験定数、M :積算温度(℃・日または℃・時)、θ :コンクリート温度(℃)、A:一般に10(℃)、冲 :(日または時)

  あらかじめ図10-2のような関係を把握しておくと、目標強度を満足するにはどの程度の積算温度が必要か推定することができます。

  
図10-1 養生温度ごとのセメント水比と
材齢1日強度の関係例
(練上り温度は全ての養生温度において20℃)
図10-2曲げ強度と積算温度の関係例