当協会は、日本スリップフォーム工法協会、プレキャストガードフェンス協会と共同で、高速道路に設置されたコンクリート防護柵の設置の効果を、主に防護柵に残された車輛の接触痕を手がかりに調査しました。その結果、コンクリート防護柵は突破事故を防ぎ、補修を必要としたこともないことなどが確認できました。
これらの調査報告は、「コンクリート防護柵の現況調査報告書」として取りまとめましたので、報告書ご希望の方は、セメント協会・普及部門(03-3523-2705)までご連絡下さい。
報告書のポイント
1.調査対象区間;東北自動車道・本宮IC~白石IC間の、コンクリート防護柵設置区間 21.7km(上下線で約44km)
2.調査時期;2002年10月31日~2003年11月5日
3.接触痕数;1年間に165件の車の接触痕を確認
4.突破事故;なし
5.補修;なし
6.接触痕箇所;3%程度以上の下り勾配で、かつ700m程度以下の左カーブの組み合わさった箇所に集中する傾向にある
7.衝突角度の推定;測定できたものでは、約90%が10度以下
8.ライフサイクルコスト;約5年で鋼製に追いつき、以後有利に働く
9.事故記録;165件の接触痕があるものの、事故の記録として残されているものは25件。
10.防護柵の設置基準に示されている4つの性能規定(・車輛の逸脱防止機能、・乗員の安全性能、・車輛の誘導性能、・構成部材の飛散防止性能)はほぼ満足
大型車による接触痕
厳しい衝撃に耐え、車両を誘導している |
大型車のタイヤのボルトと思われる接触痕の軌跡 |
車輌の大型化、高速化が進むなか、中央分離帯の突破や路外逸脱、転落などの重大事故につながるケースが多くなってきています。コンクリート防護柵は突破防止の抑止効果が高く、このような重大事故を未然に防ぎ、さらに防護柵の形状により車両を元の車線に誘導することができ、乗員の安全性にも配慮しています。
また、車両が接触してもほとんど補修作業を必要としないため、そのための渋滞、危険作業も不要になり、経済効果も高く、今後ますます交通安全に貢献していくものと思われます。
このような特長をもつコンクリート防護柵は、現在、高速道路を中心に総延長で約400km設置されていますが、最近では、一般国道への採用もふえてきています。
(わが国の事例) | ||
(海外の事例) |
工場で製品を作り現場で設置します。
現場で機械施工により成型します。
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