A. セメントは、灰色の細かい粉で、水を加えるとかたまる性質をもっています。砂や砂利と混ぜることで「コンクリート」というとても丈夫な材料になります。
建物や橋、道路など、私たちの暮らしを支える多くのものに使われています。セメントは、ものをくっつける「のり」のような役割をしており、社会の基盤をつくるうえで欠かせない素材です。
▲石灰石
A. セメントの主な原料は、「石灰石」「粘土」「けい石」「酸化鉄原料」「せっこう」などです。
このうち、最も多く使われるのが石灰石で、全体の70〜80%を占めます。石灰石は日本各地で豊富にとれる資源で、国内需給率は100%、すべて国産です。
そのほかの原料は、セメントがきちんと固まる性質や強さを整えるために加えられています。
A.セメントを作る工程として、大きく分けて、原料工程、焼成(しょうせい)工程、仕上げの3工程があります。
▲セメントができるまで(製造工程)※クリックで拡大
▲たて型ミル
原料工程は、決められた割合で混ぜ合わせ、乾かしてから細かく砕きます。この作業を「原料調整」といいます。
工場では「ローラーミル」と呼ばれる巨大な粉砕機を使い、粉のように細かくします。
こうして作られる「原料粉」は、あとで高温で焼いてセメントのもとになる「クリンカ」を作るための大切な準備段階です。原料の混ぜ方や細かさが、セメントの品質を左右するため、とても精密な管理が行われています。
▲クリンカ
焼成(しょうせい)工程では、原料を高温で焼くことで黒っぽい粒のような「クリンカ」ができます。
▲焼成装置(手前の円筒が回転窯、奥のタワーは予熱装置)
▲回転窯の内部
※「焼成(しょうせい)」とは、セメントの原料を高温で焼いて「クリンカ」という中間製品をつくる工程のことです。
原料の粉は「回転窯(ロータリーキルン)」と呼ばれる大きな回転式の窯(かま)に入れられ、約1,450℃という高温でゆっくりと焼かれます。
この間に原料同士が化学反応をおこし、黒っぽく丸い粒のような「クリンカ」ができます。
焼成にはたくさんの熱エネルギーが必要ですが、工場では余熱を回収して再利用したり、廃棄物や副産物を熱エネルギーとして使ったりするなど、省エネルギーや環境への配慮も進められています。
▲仕上げ工程
最後に仕上げ工程では、出来上がったクリンカを冷やして仕上げ粉砕機で細かく砕き、「せっこう」を加えることで固まる速さを調整します。このようにして、みなさんがよく見る「セメントの粉」ができあがります。
最近では、環境への負担を減らすために、高炉スラグ(製鉄所で鉄を作るときに出る副産物)や、フライアッシュ(火力発電所で石炭を燃やした時に出る細かい灰)などを一緒に混ぜたセメントも作られています。
A. 出来上がったセメントは、工場から船やトラックで全国の「サービスステーション」と呼ばれる貯蔵基地に運ばれ、そこから生コンクリート工場や建設現場などに届けられます。こうして、皆さんの身の回りの建物や道路の工事に使われるのです。
A. セメントには大きく分けて3つの種類があります。
ひとつ目は、最も一般的に使われる「ポルトランドセメント」。住宅や道路など、幅広い用途に使われています。
ふたつ目は、「混合セメント」で、高炉スラグやフライアッシュなどを加えたタイプです。環境負荷を減らせるのが特長です。
三つ目は、「特殊セメント」で、早く固まるタイプや化学薬品に強いタイプなど、特別な用途に合わせて作られています。
詳しいセメントの種類についてはコチラ
ちなみに、「ポルトランド」という名前の由来は、当時イギリスの「ポルトランド岬」でとれる石材に似ていたことから、この名前がつけられました。
A. セメントの歴史はとても古く、およそ9,000年前の新石器時代までさかのぼると言われています。現在のイスラエル・ガリラヤ地方で発掘された住居の床や壁から、今のコンクリートに似た材料が見つかっています。
また、中国でも約5,000年前の住居跡から、炭酸カルシウムを主成分とした粘土などを混ぜた、セメントに似た材料が使われていたことが分かっています。
紀元前2600年ごろの古代エジプトのピラミッドや、古代ギリシャ・ローマの建物でも、石と石をつなぐ材料として、石灰や火山灰、砂や泥を混ぜた結合材が使われていました。
広い意味では、これらも「セメント」といえます。
A. 現代のセメントの原型である「ポルトランドセメント」は、18世紀のイギリスで発明されました。産業革命の時代です。
主に2人の功績が知られています。
ジョン・スミートン(1756年):石灰石に粘土を多く混ぜて焼くと、水の中でも固まり続ける「水硬性」が強くなることを発見しました。
ジョセフ・アスプディン(1824年):石灰石と粘土を焼いて粉にしたセメントを発明し、「ポルトランドセメント」と名づけて特許をとりました。