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技術専門委員会

 技術的課題の調査、検討については、セメント協会の技術委員会傘下の専門委員会で詳細な検討がなされ、研究所はこれらの委員会と協調して種々の課題に対し、調査、実験などを行っています。

各専門委員会の活動内容

1.  規格専門委員会

 セメントに関連する学術的・技術的な調査を行い、セメントの品質規格に関する事項、セメントの物理および水和熱の試験方法に関する事項等、標準化に関する事項、セメント標準物質およびセメント強さ試験用の標準砂に関する事項に関する検討を行っています。

2.  セメント化学専門委員会

 セメントに関連する学術的・技術的な調査、試験および研究に関する事項、セメントの化学分析に関する規格、標準化に関する事項を審議しています。

3.  コンクリート専門委員会

 コンクリート専門委員会は1951年に設置され、その時節のセメントの品質とコンクリートの各種物性とのかかわりについて調査・研究を行っています。その主な成果として長期耐久性に関わる試験を実施し、これまでの成果を委員会報告として取り纏めています。

4.  セメントコンクリート技術専門委員会

 セメントコンクリート技術専門委員会は、セメント業界の共通問題に取組んでおり、経済産業省、国土交通省、全国生コンクリート工業組合連合会や他の協会との協議や諸問題の検討を行う委員会です。

5.  舗装技術専門委員会

 舗装技術専門委員会は、前身が1971年に道路技術専門委員会としてセメントの需要拡大のためのコンクリート舗装の拡大を促進する目的で設置されました。これまで研究成果や海外調査などを報告書として取り纏めている。委員会構成は産官学で構成されており、他の学協会とも連携しながらコンクリート舗装の普及・推進のための調査研究を行っています。

6.  セメント系固化材技術専門委員会

 セメント系固化材技術専門委員会は、前身が1982年に設置されたセメント系固化材研究会です。セメント系固化材が製造・販売されたのは1975年ごろで、現在では年間780万トン強の需要が見込まれています。セメント系固化材技術専門委員会では、更なる需要拡大を図るために調査・研究を行っています。

7.  セメント技術大会企画専門委員会

 セメント技術大会を技術交流、技術情報の発信、人材育成の場として一層活性化するために、イベントを企画立案し、運営方法を提案しています。

8.  環境安全品質検討委員会

 社会環境や環境側面の標準化の整備に伴い、コンクリート(セメント及び混和材)の環境安全品質に関連する学術的・技術的な調査、試験および研究に関する事項を検討しています。
 標準化の分野では、1998年にJIS Q 0064「製品規格に環境側面を導入するための指針」が制定されました。また、建築分野を対象として「建築分野の規格への環境側面の導入に関する指針」が2003年に日本工業標準調査会にて制定されました。


研究成果の例(JCAレポート)

 技術専門委員会での活動成果については、適宜委員会報告書を作成し、その概要を月刊誌セメントコンクリートのJCAレポートとして情報発信しています。

1.  「セメント系固化材を用いた改良体の長期安定性に関する研究‐材齢22年試験結果報告‐」

 地盤改良工事にセメント系固化材が使用され始めて20年余り経過した1990年、改良体の長期的な安定性に関する情報が少ない状況から、セメント協会では改良柱体を作製し長期追跡調査を開始しました。
 2012年に材齢22年調査を実施し、長期の強度発現性と安定性を確認したが、周辺土に接する改良体のごく表層では、内部よりも強度が低い層が確認されました。これらの現象について追加の検証を行うために、2015年から室内試験を行いました。
 本報告は、材齢22年を経過した改良柱体の物理的および化学的安定性の調査結果と追加検証結果を取りまとめたものです。これらの調査によって、セメント系固化材による改良体が、長期にわたり十分な安定性を有していることが確認されました。

セメント系固化材を用いた改良体の長期安定性に関する研究

PDF  材齢22年試験結果報告 (2014年2月) PDF

PDF  材齢22年調査の追加検証結果[前編]強度発現性 (2020年4月) PDF

PDF  材齢22年調査の追加検証結果[後編]改良体表層の変質 (2020年5月) PDF

2.  「セメント系固化材による油含有土の固化処理に関する基礎検討」

 工場やガソリンスタンドの跡地をセメント系固化材を用いて固化処理する際、油類を含有した土に遭遇する場合があります。しかしながら、このような油含有土をセメント系固化材により固化処理した報告は少なく、油種や油の含有レベルが改良効果に及ぼす影響は明らかとなっていません。
 本報告は、油含有土に対するセメント系固化材の改良効果を確認するとともに、固化に伴う油膜発生状況や油類の溶出低減効果について実験的に検討したものです。

PDF  セメント系固化材による油含有土の固化処理に関する基礎検討 PDF

3.  「火山灰質粘性土のセメント改良体における強度発現の阻害現象〜アロフェンの影響について〜」

 火山灰質粘性土をセメント系固化材により固化処理すると、他の粘性土を対象にした場合に比べて強度発現が劣ることがあります。この理由は、火山灰質粘性土に多量に含まれる非晶質の珪酸アルミニウム粘土鉱物のアロフェンが、セメント系固化材(以下 固化材)から生じるカルシウムイオンを多量に取り込み、固化を阻害するためと言われています。しかしながら、これを定量的に調査した報告は少ないようです。
 本報告では、まず、アロフェン量の異なる試料土を数種類集め、固化処理後の強度発現を比較しました。さらに、アロフェン量の多い火山灰質粘性土とアロフェン量の少ない粘性土を対象とし、土のカルシウムイオン取込み量の面からを評価しました。ここでは、土のアロフェン量と改良体の強度、土の水酸化カルシウム(以下 Ca(OH)2)吸着量との関係を報告しています。

PDF  火山灰質粘性土のセメント改良体における強度発現に関する検討(アロフェンの影響について) PDF

4.  「製造会社の異なるセメントを使用した乾燥収縮共通試験結果」

 異なるセメント会社で製造されたセメントを用い,これらのセメントの違いが乾燥収縮に及ぼす影響を把握することを目的に共通試験をセメント協会研究所にて実施しました。セメントは12社のセメント会社から入手し,品種は汎用的に使用されている,普通ポルトランドセメントと高炉セメントB種の2種類としました。
 乾燥収縮試験は,JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に準拠したモルタルおよび水セメント比55%の普通コンクリートを対象としました。なお,コンクリートに関しては骨材の種類の違いの影響についても実施し、取りまとめたものです。

PDF  製造会社の異なるセメントを使用した乾燥収縮共通試験結果 PDF

5.  「F55(追補)各種セメントを用いたコンクリートの乾燥収縮に関する実験結果」

 セメントの種類がコンクリートの乾燥収縮に及ぼす影響について取り纏めたものであり、2008年3月に委員会報告F-55「各種セメントを用いたコンクリートの耐久性に関する研究」の追補として,普通,早強,中庸熱,低熱の各ポルトランドセメントおよび高炉セメントB種の混合セメントの合計5種類の各種セメントを用いたコンクリートの乾燥収縮に関する実験結果を取りまとめています。

PDF  各種セメントを用いたコンクリートの乾燥収縮に関する実験結果 PDF

6.  「各種セメントを用いた暑中コンクリートの諸性質に関する研究」

 日平均気温が25℃を超えるような暑中コンクリート工事では,使用材料の温度制御などの対策を講じても,打込み又は荷卸し時のコンクリート温度が35℃を超えることが避けられない事態が想定されます。このような状況を踏まえ,本研究は,今後の留意すべき暑中コンクリート対策のための基礎的資料を得ることを目的として,練上りおよび環境温度が35℃を超えたときのコンクリートの各種性状を調査しました。

PDF  各種セメントを用いた暑中コンクリートの諸性質に関する研究 PDF

7.  「セメント系固化材を用いた改良体の長期安定性に関する研究‐港湾空港技術研究所との共同研究 材齢5年試験結果報告‐」

 セメント系固化材は、多方面の地盤改良現場で適用され、2018年度の需要量は845万tにも及び、社会資本整備の一翼を担う材料として高い評価を得ています。しかしながら、改良体の物理的・化学的な長期安定性の確認事例や報告は多くありません。
 本研究は、(国研)海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所と共同で2009年2月より取組んでおり、@最終材齢を20年に設定し、改良体の物理的・化学的安定性の確認を行う、A実施工(原位置攪拌)で作製した改良体を用いる、B改良体からの六価クロムの溶出と周辺土壌に対する影響の確認を行うことを目的として実施しました。本報告は材齢5年までの調査結果を取りまとめたものです。

PDF  セメント系固化材を用いた改良体の長期安定性に関する研究‐港湾空港技術研究所との共同研究 材齢5年試験結果報告‐ PDF