コンクリート舗装の普及活動、調査研究


国におけるコンクリート舗装に関する方針や取組み状況はどのようになっているのでしょうか?

 国土交通省道路局は平成24年度から、道路構造物の的確な維持・更新のため、舗装に関しては「コンクリート舗装の積極的活用」を掲げ、施策を推進しています。コンクリート舗装について適材適所の活用を図るとともに、維持管理マニュアルの整備等を実施するとしています。

 この政策を合理的、効率的に遂行するため、地方整備局の職員向けに「道路舗装の長寿命化に向けて〜コンクリート舗装の特長を活かした活用がカギ〜」等の技術資料を、第1版から第4版まで土木研究所と共同で作成し、配布しました。また、地方整備局の担当者会議を開催するなどして、これらの政策の遂行方策について議論を重ねてきました。

 2013年4月には、設計業務等共通仕様書を改定し、コンクリート舗装とアスファルト舗装を同格に扱うように、同書において次のように明記しました。

「受注者は、設計図書に示される交通条件をもとに、基盤条件、環境条件、走行性、維持管理、経済性(ライフサイクルコスト)等を考慮し、舗装(アスファルト舗装/コンクリート舗装等)の比較検討のうえ、舗装の種類・構成を決定し、設計するものとする。」 (例えば、国土交通省関東地方整備局ホームページ 設計業務共通仕様書 第6編道路編 第4章 道路設計 (9)舗装工設計 http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000077528.pdf


 社会資本整備審議会道路分科会では2012年6月に建議中間とりまとめを発表しましたが、この中で「高い耐久性が期待されるコンクリート舗装の積極的活用など、LCC最小化の視点をより重視した総合的なコスト縮減を推進すべきである。」としています。また、2012年度から16年度の5年間を計画期間とする「国土交通省技術基本計画」においても、「コンクリート舗装等耐久性の高い素材等の採用によるライフサイクルコストの縮減を目指す」等を記載するなど、コンクリート舗装の積極的活用を謳っています。更に、2013年5月には、社会資本整備審議会技術部会において「今後の社会資本の維持管理・更新のあり方について」の中間答申案に「コンクリート舗装等耐久性の高い素材の採用」が明示されています。


 国土交通省では従来からトンネル部についてはコンクリート舗装を採用してきましたが、新たな施策方針に基づき、高規格幹線道路等の明かり部においてコンクリート舗装の採用が始まっています。今後は、これらの施策や技術資料を踏まえて、ライフサイクルコストの縮減のため、適材適所でコンクリート舗装が活用されていくものと考えられます。



コンクリート舗装について、セメント業界や生コン業界ではどのように取り組んでいるのでしょうか?

 セメント業界では、セメント協会を中心として、業界の懸案であるコンクリート舗装の普及に向けた取組みを積極的に進めています。

 現在の具体的な取組み状況は以下のとおりです。


@広報・普及活動の推進

  • ・コンクリート舗装に関する理解を深めるために、「技術セミナー」を開催しています。
  • ・国、県等の発注者に対して、コンクリート舗装に関する説明活動を実施しています。
  • ・セメント協会が刊行している「セメント・コンクリート誌」に、コンクリート舗装の連載記事(2009.4〜2011.4)を掲載するなど、広報に努めています。
  • ・2013年4月から、全国生コンクリート工業組合連合会・コンクリート推進会議と連携してコンクリート舗装の普及活動を推進しています。

A有識者との連携

  • ・日本道路協会舗装委員会、土木学会舗装工学委員会と連携して、コンクリート舗装の技術的課題の検討を進めています。
  • ・舗装に関する有識者と連携してコンクリート普及に関する課題を検討しています。

B研究の推進

  • ・コンクリート舗装の補修工法に関して、土木研究所との共同テーマで研究を進めています。
  • ・高速道路総合技術研究所とコンクリート舗装版の健全度を評価する試験方法について共同研究を実施しています。
  • ・新都市社会技術融合創造研究会「都市環境舗装の維持管理手法に関する研究」へ参加し、コンクリート舗装の研究を推進しています。

Cその他

  • ・セメント協会に設けられている「開発・普及委員会」において、活動方針を審議しています。
  • ・セメント協会舗装技術専門委員会において、コンクリート舗装の技術的課題の検討を実施しています。
  • ・セメント協会流通委員会メンバーにより、各地区において発注者等への説明活動や普及活動を推進しています。


コンクリート舗装技術について、土木学会や関係協会はどのように取り組んでいるのでしょうか?

 日本道路協会舗装委員会(舗装設計・施工小委員会コンクリートWG)では、道路管理者や施工会社の舗装技術者が広く活用し、コンクリート舗装の正しい適用が全国の現場で試みられることを目的に、コンクリート舗装の利点、欠点を分かりやすく解説し、コンクリート舗装の正しい適用のもとで、その普及、拡大に資するために「コンクリート舗装に関する技術資料」を2009年8月に刊行しました。最近では、主に道路管理者を対象としたコンクリート舗装の維持管理に関するマニュアルとして、「舗装の維持修繕ガイドブック2013」を2013年11月に刊行しました。


 また、土木学会舗装工学委員会では、コンクリート舗装小委員会(委員長;西澤辰男石川高専教授)を2007年1月に設置し、設計・施工、材料、維持補修の3つの分科会を設け、コンクリート舗装の技術的課題の再検討や各種コンクリート舗装の設計法等に関する検討を進め、2011年11月にはコンクリート舗装の設計、施工、供用性状に関わる幅広い分野にわたるその活動成果を報告書に取りまとめ公表しました。同小委員会は、2012年4月から第2期として版厚設計の高度化、材料の課題整理と対応、施工の課題整理と対応、コンクリート舗装のすべり抵抗性調査と解析をテーマに活動をしています。