品質管理編


Q.19 養生終了時期を判断する方法を教えてください。

  1DAY PAVEの養生期間は通常のコンクリート舗装の養生期間と同様に、現場養生を行った供試体の曲げ強度が配合強度の70%以上になるまでとし、交通開放時期はこの養生期間の完了後になります。

  現場養生供試体は、最後に到着したトラックアジテータよりコンクリートを採取し成型します。成型後直ちに、施工した舗装版と同じ養生方法にて養生することを原則としています。例えば、養生マットにより養生を行った現場であれば供試体もマットをかぶせた養生とし、給熱養生を行った現場では、給熱により温度が保たれている養生囲い内に供試体を静置して養生を行います。供試体の本数は6本以上とします。材齢1日で3本試験し、その平均が養生終了強度以上となれば養生終了と判断します。また、養生終了強度が得られなかった場合、材齢1日以降で残存供試体を適宜試験し、養生終了時期を判断します。

  実施工において目標の曲げ強度を確実に得るためにも、事前の試験練りの際は、施工するコンクリート舗装版と同等の温度条件となる環境で実施して配合を決定して下さい。コンクリートの強度発現には養生温度が大きく影響します。図20-1のように、試験練りの際に曲げ強度と積算温度との関係を求めておくと、実施工の際に養生終了を判断するための強度試験を実施するタイミングを積算温度から推定できます。また、施工箇所の温度変化が著しく、強度発現性の予測が難しい場合は、通常よりも多くの強度試験用供試体を作製しておくことを推奨します。


図19-1 積算温度と曲げ強度の関係1)を基に作成

【参考文献】

1) 泉尾英文、中村弘典、瀧波勇人、吉本徹:早期交通開放型コンクリート舗装(1DAY PAVE)
の強度管理および施工ひび割れ照査の検討、セメントコンクリートVol71、pp.280-287、
2017年



Q.20 供試体の現場養生において、コンクリート版と供試体を同様
の温度履歴とするように養生する方法はありますか?

  1DAY PAVEの養生終了時期は、現場養生供試体の曲げ強度を確認することを原則としています。一方で、コンクリート舗装版は現場養生供試体より寸法が大きいため、セメントの水和発熱にともなう温度上昇が大きく、早期の強度発現が期待できます。そのため、現場養生供試体による強度管理は安全側の評価と言えますが、コンクリート舗装版と現場養生供試体の温度履歴を同様のものとできれば、より合理的な強度管理を行える可能性があります。

  図20-1は、発泡スチロール(以下、EPF)を使用して供試体を保温養生した場合のコンクリート舗装版と供試体の温度履歴を示したもの1)です。実験は冬期に行われ、コンクリート舗装版は長さ2,000mm×幅2,000mm、厚さ200mmとし、コンクリートの打込み完了後、打込み面をブルーシートで覆っています。一方、供試体のEPFでの保温は、図20-2に示すように、鋼製型枠をEPF(側面100mm、底面50mm)内に存置しています。図20-1より、コンクリート舗装版と比較して、現場養生供試体の温度は養生期間を通じて低く推移している一方、EPF養生供試体はコンクリート舗装版に比較的近い挙動を示しています。このような保温養生を行うことで、現場養生供試体の温度履歴をコンクリート舗装版に近づけることができるものと考えられます。

  なお、図20-2に示した方法は限られた条件下での実験結果のため、版厚や施工面積、環境温度が変化した場合は別途検討が必要になります。


  
図20-1 舗装版および供試体の温度履歴1) 図20-2 供試体の養生方法(EPF養生)1)

【参考文献】

1) 井口舞、兵頭彦次、石田征男、梶尾聡:早期交通開放型コンクリート舗装の管理供試体の養生
方法に関する検討、舗装、pp.17-22、2017年