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FHWA-PL-07-027
Long-Life Concrete Pavements in Europe and Canada
August 2007

報告書の原文

日本へ推奨される項目

本頁は、米国連邦道路管理局の報告書FHWA-PL-07-027 「Long-Life Concrete  Pavements in Europe and Canada」をセメント協会舗装技術専門委員会が和訳したものです。原文は、FHWAのホームページで公表されています。

第6章 「 メンテナンス 」

カナダ

オンタリオ州では、コンクリート舗装の維持・補修計画に、ライフサイクルコストの手順に含まれる。JPCPでは、目地の再シールは12年目に実施され、さらに18年目および28年目に実施される。すべり抵抗性改善のためのダイヤモンドグラインディングは、18年目および28年目に実施される。コンクリート舗装の復旧という形で、JPCPの大規模補修が28年目に実施される。コンクリート舗装の復旧は全断面および部分補修を含み、舗装版の交換、ダイヤモンドグラインディングおよび再シールも含む。

オンタリオ州では、種類の異なる短時間補修用プレキャスト版のフィールド試験を実施している。個々の舗装版を交換するための2つの方法、および複数の舗装版を交換するための1つの方法について試験が行われた。これらの技術は、午前11時から午後5時の間に舗装版補修のための車線規制が取れる場合のみ適用可能である。受注生産は、気象条件に依存せず、生産速度が現場打ちの急速施工による補修と同等であるプレキャスト版を使用することで版の補修が達成できると考えている。

ケベック州ではコンクリート舗装の損傷識別および維持・補修のためのマニュアルを展開した。しかしながら舗装維持のための予算は提供されない。

ドイツ

ドイツでは、即日夕方の交通開放のために既存のコンクリート舗装の補修に早強コンクリートが使用される。材齢6時間の圧縮強度は1740psi(12MPa)必要で、そのために単位セメント量は22~25lb/ft3(360~400kg/m3)としている。また、施工性を確保するために高性能減水剤を使用している。

オーストリア

ウィーン地域の高速道路では、舗装の補修は金曜日の夕方、あるいは土曜日の午後の早い時間帯に始められ、日曜日の午後には車両通行が再開されなければならない。3日後に再開する場合は水セメント比42%、1日後の場合は水セメント比40%以下、そして12時間以内の場合には水セメント比36%以下のコンクリート配合が使用される。

オーストリアは最近、アスファルト舗装のわだち掘れを直すため、「ホワイトトッピング」(アスファルト舗装上の薄層コンクリートオーバーレイ)の使用について研究してきた。ACIAの研究所が行った試験では、アスファルトとコンクリート間の付着を測定する方法として、くさび挿入割裂試験が、より一般的な引張試験よりも優れていることを示した。その他の試験では、切削アスファルトの表層をしっかり清掃して得られるアスファルトとコンクリート間の付着強さは接着剤を用いるより良かったことが示された。

ベルギー

コンクリートのオーバーレイや切削オーバーレイ技術は、ベルギーにおいても、古いアスファルトやコンクリート舗装を補修する重要な技術である。オーバーレイにより路面は改善され、古い舗装は新たな舗装構造の下層構造となる。切削オーバーレイでは、新たに舗設するコンクリート舗装の版厚と同じ深さまで、既存のアスファルト舗装を切削する。ベルギーでは、訪問国で唯一、コンクリートの切削オーバーレイも、よく使用される補修技術として紹介があった。

ベルギーでは、1933年に初めてコンクリート舗装の切削オーバーレイが行われた。オーバーレイは、おそらくJPCPまたはCRCPで行なわれ、何れの場合もコンクリート版の下にアスファルト層を使用される。図41にCRC切削オーバーレイの状況を示す。

1960年に、ベルギーで最初のコンクリートオーバーレイが、1934年に建設されたコンクリート舗装に実施された。版厚18cmの目地有りRC版によるオーバーレイが行なわれた。図42に、供用45年程度で現存しているオーバーレイの状況を示す。

ベルギーで初めて建設された、ブリュッセルのロレーヌ通りのコンクリート舗装は、供用78年後の2003年にオーバーレイが実施された。図43にオーバーレイを示す。厚さ20cm、長さ2.95kmが11日間で施工された。

図44に、ブリュッセルからオーステンデ間のE40/A120号線で実施されたコンクリートオーバーレイを示す。2つの現場プラントにより、日に2000m3のコンクリートを製造した。幅7.25mの舗装を日に1200m舗設した。 図45に、ペーバーを示す。プロジェクトは過密スケジュールであったため、24時間、1週間、中断することなくコンクリートを打説した。そのため、CRCオーバーレイの施工上の継目は生じなかった。スリップフォームペーバ―も、防護柵の作製のために使用された。図46に示す。

急速施工用のコンクリート配合が、ベルギーでは、急速補修や早期交通開放に用いられている。 一般的に、路盤も撤去される。急速施工では、強度クラス42.5のCEM Iを使用し、単位セメント量450kg/m3水セメント比0.33、または、強度クラス52.5のCEM Iを使用し、単位セメント量450kg/m3水セメント比0.38の配合としている。材齢30から36時間の圧縮強度が40MPaとなるよう、配合設計されている。最大の車線規制時間は、ベルギーの標準仕様による。フライアッシュやシリカフュームは使用していない。ベルギーはプレキャストのスラブ版による急速補修の試験を行ったが、目地段差の課題があり採用されなかった。

オランダ

オランダにおけるメンテナンス頻度は舗装種類によって異なっている。単層のポーラスアスファルト舗装の場合、走行車線(右車線)は10年で打換えが必要になり、14年では全ての車線で打換えが必要になる。2層式ポーラスアスファルト舗装の場合、走行車線(右車線)の表層部分は、6年で打換えが必要になり、10年では全ての車線で2層とも打換えが必要になる。CRCPの場合、15年間はメンテナンスが不要と考えられる。

JPCPの目地部シールは1980年代に行われたが、舗装性能や供用期間への効果は認められなかった。このため、現在はシールが行われていない20)